営力とは?

地形にはさまざまなものがあります。すぐに思い浮かぶものは三角州や扇状地などでしょうか。

これらの地形を生み出す運動のことを営力と言います。

営力は

  • 内的営力
  • 外的営力

の2種類に分割されます。

内的営力

内的営力は地球内部の力による地殻変動を指します。これらは大地形と呼ばれる大規模な山地や平野を生み出します。

地球内部の力とはどういうことかというと、運動の駆動因が地球内部からの熱やマントル対流によるものであるということを指します。

発展

では、地球内部の熱はどこから来たものなのでしょう?これは地球が形成されたときに閉じ込められた熱や放射線同位体の崩壊による熱が当たります。

地球が形成されたときには様々な粒子が引力により圧縮されていき、重力エネルギーが熱エネルギーに変換されます。これは高いところからものを落としたときに重力エネルギーが運動エネルギーに変換されて速度が増加するのと同じ仕組みです。

また、地球の岩石は化学的に不安定な放射線同位体を含んでおり、これらが安定な形に変わる(これを崩壊と呼ぶ)時に熱を放出します。地熱の大半はこれによるものと考えられています。なお、この時にでる放射線が自然放射線として観測されます。

当然ながらこの熱は有限なのでやがて地球は冷え、内的営力は働かなくなってしまうでしょう。

このような性質から、例えば火星に火山があるように、内的営力は他の惑星や衛星にも働く可能性があることがわかります。

 

内的営力は水や空気に依存しないという性質を覚えておくと覚えやすいと思います。

内的営力には断層などにより急激に隆起し山地などを作る造山運動、緩やかに隆起し大規模な平地や大地を作る造陸運動、火山運動などがあります。

 

外的営力

外的営力は地表面より外側にある、水や空気などによる地形形成作用を言います。

例えば水による侵食・運搬・体積や風化等を言います。広義では生物による地形の変化、特に人間の活動もこれに含まれます。

 

デービスの侵食輪廻説

アメリカの地理学者であるデービスが提唱した説で、これによると地形は水などの作用によって平地である原地形から幼年期→壮年期→老年期と変化を遂げ、再び平地である準平原になるとされています。もちろん理論通りには進まず、完全に一致はしないものの、「壮年期性山地」や「老年期山地」等の呼び方がされることがあります。

発展

侵食輪廻説は乾燥地形や氷河地形、カルスト地形などに拡張され、それぞれの別のプロセスが提唱されています。

幼年期

河川の侵食によって河谷が形成され、場所によっては急峻なV字谷となりますが、河川沿い以外は平原の高さを保っています。

 

幼年期性地形のイメージ。山の高さがほぼ一定であるか、高原となっている。

日本では西日本に多く、丹波高地や木曽川中流域などがこれに当たります。

 

壮年期

山地が側方侵食(横方向への浸食)を受け、峰が形成されていきます。急峻な山地と深い谷が形成されます。

壮年期性地形のイメージ。谷が深くなり、山も高くそびえる。 

日本では中央日本に多く、日本アルプスなどがこれに当たります。

 

老年期

河谷が浸食基準面(=河口での海面の高さ)に近づき、下方浸食(下方向への浸食)は弱くなりますが依然として側方浸食は続くため山地が低くなり、河川と山の標高差が小さくなってきます。

老年期性地形のイメージ。谷が広くなり、山も低くなる。

日本では東日本に多く、阿武隈高地や北上山地などがこれに当たります。

 

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