よく

石炭 古期造山帯
石油 新規造山帯
鉄鉱石 安定陸塊

と言うように、地形と関連づけて資源を覚えようと言いますけど一体なぜなのでしょうか?

そしてこの分け方、本当に正しいのでしょうか?

一緒にみていきましょう(一緒に見る暇ない方は”まとめ”のところに飛んでください)

 

石炭

石炭は、枯れた植物が石炭化することによって生成されます。ただ、この際に微生物などによって分解されてしまうと石炭になることはできないため、そうした生物の活動が穏やかで植物の遺骸が堆積する湿原などが石炭産地とされます。

要は、植物を構成しているリグニンやセルロース、ヘミセルロースといった有機物から酸素や水素が抜けて純粋な炭素へと変化していけば石炭になるということです。

ですから、それ以外にも洪水などで大規模に植物の遺骸が運搬されて堆積することで生じたりもします。

古生代はシダ植物が繁茂し、それほど植物を分解する生物が多くなかったことから石炭の大産地は古生代起源であることが多いです。

 

石油

石油は諸説ありますが、生物由来説(有機成因論)というのが有力であるとされています。

それは、生物の遺骸が高温高圧下で油母(kerogen)という物質に変化し、その後に液体、気体の炭化水素に変化。これが集まって油田となるというものです。

ではなぜ石油が新規造山帯と結び付けられるかというと、油は水に浮きますし、気体の天然ガスももちろん浮きます。

なので、背斜という山状に褶曲を受けた場所に溜まることが多いんです。

また、東京大学名誉教授の石井吉徳教授は

2億年前の三畳紀(Triassic),右上図*のテチス海(Tethys)が中東油田の始まりである。今では石油の大規模な生成は地球史上0.9億年前と1.5億年前の,中生代のごく限られた地質年代に集中していることが分かっている。

(略)

この中生代のテチス海だが,地球史上の石油生成に極めて特異だった。二酸化炭素の濃度が今より10倍も高く、気温は10C近くも高かった。らつまり地球温暖化で,植物の光合成は極めて活発だった。しかもテチス海は2億年もの間赤道に停滞した内海であったため,海水は撹拌されず酸欠状態が続いた。有機物は分解されず,石油熟成に好条件であった。この地球上,異常とも言える条件が中東油田を作った。

*図は”参考文献”の論文を参照してください

とあるので、時代的には中生代に形成されたものが世の中の大産地の大半なようです。

 

鉄鉱石

地学を履修している人なら知っているかとは思いますが、大規模な鉄鉱石の鉱床は縞状鉄鋼層によるものです。

これは海水中の鉄イオンが大気中の酸素と結合して酸化鉄(Fe2O3)となったものです。

この出来事は約20億年前に起きたので安定陸塊のような古く、長きにわたって侵食作用を受けて地表にかつての層が露出しているような場所がその分布に該当するということです。

なぜ現在は同じようなことが起きないかというと、もともと地球が誕生したての頃は光合成を行う生物が存在していなかったために大気の酸素濃度が今より少なかったからです。

シアノバクテリアといった光合成を行う生物が誕生したことによって大気の酸素濃度が上昇し、雨によって陸地から運ばれて海水中に溶けていた鉄イオンがこのタイミングで酸素と結合。酸化鉄となって海底に沈殿しました。

その時に沈殿した酸化鉄がその後地殻変動で隆起したりして部分的に陸地化して鉱山となっているわけです。

 

 

まとめ

石炭 植物の遺骸の炭素成分が蓄積したもの 特に古生代に湿地帯だった場所
石油 生物の遺骸が高温高圧で変化したもの 昔テティス海だった場所で採集しやすい場所
鉄鉱石 酸化鉄が20億年前に沈殿したもの 縞状鉄鋼層が露出する場所

ということでしたが、やはり地球の構造は複雑です。例外はたくさんありますし、こう言った場所が大陸移動をして地殻変動を受けた数億年という時間が経った現在のどこに該当するのか考えるのも至難の技です。

ですから、成因と大産地の場所とは切り離して学ぶことはお勧めします。(せいぜい試験に問われるのは5位までですから)

生産量ランキング(2019)は下の通りです。

石炭 石油 鉄鉱石
中国 アメリカ オーストラリア
インド ロシア ブラジル
アメリカ サウジアラビア 中国
インドネシア カナダ インド
オーストラリア イラク ロシア

 

さいごに

石油の起源についてはだいぶ論争があるようで、それ以外の説もあります。

最近別の説の方を指示するような証拠が続々と発見されたりするのでますますなんとも言えません。

ただ、石井教授の論文では

石油とは有機物,太陽光による二酸化炭素の光合成で出来た藻,植物などの有機物が海底に堆積し熟成したものである。堆積盆地とは,盆のようなところに堆積した地方の集積で,その後の地殻変動で褶曲し馬の背のように盛り上がった地質構造の上部に,ガス,油,水が軽い順に移動,濃集したものである。油田とは堆積盆地内の背斜構造にあるのである。

とあり、生物由来説をとっていました。

 

参考文献

石井 吉徳, 安い石油時代が終る : 「無駄」から「勿体無い」へ, 58 巻 6 号 p. 571-580, 2005

 




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