山地やその周辺部の地形について実際の例を見ながら解説していきたいと思います。

 

山地

山地には褶曲によるもの、断層によるもの、浸食から取り残されたものなどがあります。

 

褶曲山地

褶曲は水平であった地層が横から圧縮される力を受けることで皺ができるように地層が曲がり、部分的に隆起したり沈降したりする現象です。これによって隆起した山地を褶曲山地と呼びます。

褶曲山地ができるためには、圧縮の力がかかる場所であることからプレート境界の近傍であることなどが必要です。しかし圧縮の力が弱まっても地層は戻らないので現在もプレート境界に近いとは限りません。また曲がりやすい(やわらかい)地層であることも必要です。地層が固く割れやすいと圧縮の力を受けた時に断層運動となり、十分に褶曲が起こらない可能性があります。

発展

褶曲のように滑らかに曲がり、力を弱めても元に戻らないような変形を塑性変形(そせいへんけい)といいます。高温のとき塑性変形は起こりやすく、低温だと起こりにくくなります。塑性変形しにくい岩石が内部の強度を超える力を受けると剪断(せんだん)と呼ばれる、ねじ切られるような動きが起こり、断層運動となります。

褶曲のイメージ

褶曲のうち、地層が上に盛り上がっている部分を背斜、下がっている部分を向斜と呼びます。

背斜部では石油や天然ガスが取れることがあります。

褶曲山地は広い範囲で見られますが、日本で有名なのは新潟~山形にかけての日本海側です。この地域では石油の生産があることも有名です。

5万分の1地質図幅「加茂」(工藤崇・内野隆之・小松原琢・高橋浩・柳沢幸夫、産総研地質調査総合センター)(https://gbank.gsj.jp/geonavi/docdata/data/org_data/wxga_1155_org_1148.jpg)を使用し、加工したものである。図中のアルファベットは下図の断面図との対応を示します。
5万分の1地質図幅「加茂」(工藤崇・内野隆之・小松原琢・高橋浩・柳沢幸夫、産総研地質調査総合センター)(https://gbank.gsj.jp/geonavi/docdata/data/org_data/wxga_1155_org_1148.jpg)を使用し、加工したものである。

青線の区間の断面図を下に示しました。断面図を見ると褶曲により丘陵が形成されていることがよくわかると思います。

この丘陵の位置はおおよそ次の地図のとおりです。航空写真などで褶曲山地を見てみてください。

 

断層山地

断層は褶曲と同じく圧縮の力を受けて地層がずれるもので、地震の原因にもなります。

実際に大地震の後土地が隆起する地域がありますが、このように断層には地盤を上昇させることがあり、これによってできた山地が断層山地です。

一般に断層山地は褶曲山地より急峻になっています。これは断層山地を作るような断層の面が通常45°以上傾いているためで、崖になっている場合は特に断層崖と呼ばれます。

断層山地のイメージ

断層により隆起した部分は地塁、沈降した部分は地溝と呼ばれます。

代表例は関西や東北地方の主な山地と盆地群です。

5万分の1地質図幅「京都東南部」( 脇田浩二・竹内圭史・水野清秀・小松原琢・中野聡志・竹村恵二・田口雄作、産総研地質調査総合センター)(https://gbank.gsj.jp/geonavi/docdata/data/org_data/wxga_1200_org_1192.jpg)を使用し,加工したものである。

 

5万分の1地質図幅「京都東南部」( 脇田浩二・竹内圭史・水野清秀・小松原琢・中野聡志・竹村恵二・田口雄作、産総研地質調査総合センター)(https://gbank.gsj.jp/geonavi/docdata/data/org_data/wxga_1200_org_1192.jpg)を使用し,加工したものである。

山科盆地は東西両側を地塁で限られた地溝盆地です。地質図を見ると、盆地の両端に花山勧修寺断層と黄檗断層(赤線)が走っていることがわかります。

 

1件のコメント

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