北アメリカの地誌を習う時かならず耳にするプレーリーとグレートプレーンズ。この違いってなんじゃい!って思いますよね!
今回はその疑問を解決していこうと思います!
結論
結論から言うと、
グレートプレーンズ:地形ベース
プレーリー:植性ベース
なので、両者を同じ基準で語ることはできず、分布も重なっていたり重なっていなかったりする
ですから、受験でその違いを問われることは考えにくい
と言うのが私の解答です。
グレートプレーンズ
やはりアメリカ合衆国の地誌ということもあり英語のサイトの方がより信憑性が高いだろうということで英語のサイトを参照しました。
英語版Wikipediaでは、
The Great Plains (sometimes simply “the Plains”) is a broad expanse of flat land (a plain), much of it covered in prairie, steppe, and grassland, located in the United States and Canada. It lies west of the Mississippi River tallgrass prairie in the United States and east of the Rocky Mountains in the U.S. and Canada.
グレートプレーンズは、広範な平地で、その大半はアメリカ合衆国やカナダのプレーリー、ステップ、草原に分布している。ミシシッピ川西縁のアメリカ合衆国の長草原からアメリカ合衆国とカナダのロッキー山脈東縁にわたって位置する。
と書かれていました。
また、ENCYCLOPEDIA BRITANNICAでは
The Great Plains is the name of a high plateau of grasslands that is located in parts of the United States and Canada in North America and has an area of approximately 1,125,000 square miles (2,900,000 square km).
グレートプレーンズはアメリカ合衆国とカナダの一部を占め、およそ290万平方kmにわたる草原性台地の名称である。
と書かれています。
プレーリー
英語版Wikipediaでは、
Prairies are ecosystems considered part of the temperate grasslands, savannas, and shrublands biome by ecologists, based on similar temperate climates, moderate rainfall, and a composition of grasses, herbs, and shrubs, rather than trees, as the dominant vegetation type.
プレーリーは温帯草原、サバナ、灌木のバイオームを生態学者が、同様の温帯気候、適度な降水、低木、草本類が木本よりも卓越する植生を考慮した生態系である。
※grasses, herbs, and shrubsの違いについては以下のリンクを参照してください
→https://daxiongmao.exblog.jp/5244248/
そして、
Temperate grassland regions include the pampas of Argentina, Brazil and Uruguay, and the steppe of Ukraine, Russia and Kazakhstan. Lands typically referred to as “prairie” tend to be in North America. The term encompasses the area referred to as the Interior Lowlands of Canada, the United States, and Mexico, which includes all of the Great Plains as well as the wetter, hillier land to the east.
温帯草原はアルゼンチン・ブラジル・ウルグアイのパンパ、ウクライナ・ロシア・カザフスタンのステップを含む。「プレーリー」と言及される場所は北アメリカのものを指す傾向にある。カナダの内陸部の低地やアメリカ合衆国、メキシコを含み、東に向かって湿潤、起伏に飛んだ土地同様、グレートプレーンズ全体を含んでいる。
と記述されている。
ここではグレートプレーンズ全体を含んでいると書かれていますが、wikipedia内の地図とpraipieのwikipedia内の地図を見比べても分かる通り、両者は重なっていたり重なっていなかったりするのでその全体を含むというのはwikipedia内で矛盾しています。
ただ、こうした地質や植生での区分は正確な区分けをするのが難しいものなので両者の図が矛盾するのも無理はないです。
また、ENCYCLOPEDIA BRITANNICAでは
Prairie, level or rolling grassland, especially that found in central North America.
水平または緩やかな起伏のある草地であるプレーリーは、特に北アメリカ中央で見られる。
と書かれています。
まとめ
おそらくこれまでの説明ではピンとこなかった人もいるかもしれませんが、着目すべきは記事で何が書かれているかです。
グレートプレーンズについては地形、場所としての説明。プレーリーでは植生をベースとした生態系の説明が両ページでもメインを占めています。
ですから、
グレートプレーンズ:地形ベース
プレーリー:植性ベース
と言えるわけです。
プレーリーの説明での引用で、グレートプレーンズを含んでいるという訳の部分がありましたが、そもそも定義がずれているので両者に因果関係がない限りはそのようなことも確実性を持って言えないわけです。
わかりやすく言えば、関東ロームと関東平野の違いを求めているようなものです。
また、「great plains」に関しては人文地理よりの、「prairie」に関しては自然地理よりの解説が多い印象を受けたためあながちこの解釈で間違っていないと思います。
海外のハイレベルな教科書も調べましたが、いずれの単語も載っていなかったです。
地理オリンピックの経験ですが、日本の地理教育は地名に傾倒しがちな部分があると思います。ですから、様々な場所を表す用語を導入した結果、この2語が混在してしまったような気がします。
とうほう出版の地理資料集では両者が同じ地図に並ぶように、同じフォント・色で書かれていました。
いずれにせよ、この北アメリカの土地がどのような土地であるかを自然と人文を関連づけてわかっていれば地理学を理解する上では全く問題はないと思います。
もし、先生などに両者の違いを聞かれた場合、その方の解答の根拠を聞いて、このサイトのCONTACTフォームで教えていただけると嬉しいです。
今回に関連して、土壌と植生を混合して覚えてしまうことがよくあるので、それは間違えないようにしてくださいね!
語源
ちなみに、語源を辿ると
Great Plainsは英語なので文字通り「大きな平地、平野」
Prairieはフランス語で「平原、牧草地」
です。このことからも前者が地形ベース、後者が植生ベースであると言えますよね。
注意
明確に権限のある文献を参考として解答を出すことができていないため、確実性だとは言い切れません。
実際、他の日本語のサイトでは異なった解説をしているサイトも見かけたのでそちらが正しい可能性も否定できません。
ただ、私たちの中ではこの答えに異論はなかったので私たちなりの解答としてお答えしています。