楽器はその土地の風土によって素材も異なりますし、その伝播はとても面白いんです!

 

 

シタール-Sitar-

あの、大西洋を渡ったゆうがおの実が使われているそうです。さすがはひょうたん(ひょうたんもユウガオもほとんど同じです)

ちなみに、ヴィチトラ・ヴィーナ(下の動画)など他にもたくさんの楽器にゆうがおの実が使われています。

 

「さわり」について:アフリカの一部、インド、日本だけ

振動した弦の一部がコマに触れて出る「ビョーン」という音

سه‌تار(shts’ar)と書き、ペルシア語で「三弦」という意味だそうです。アラビア語は書いたように長母音をのぞいて子音しか表記されないので各地で読み方がすこーしずつ違って、セタールも同じ語源だそうです。※諸説あります

10世紀頃にシルクロードの旅芸人や修行僧がこの楽器の祖先をインドに伝えたときには3本弦だったことからそのなまえがついたそうです。

 

サロード-sarod-

北インドの王朝に雇われていたアフガン人の兵隊がアフガニスタンの弦楽器をインド音楽用に改造したのが起源だそうです。

アフガン人といえばデリー・スルタン朝最後の王朝ロディー朝を建国した民族ですね。

このサロードができたのはすくなくともその数世紀あとらしいですが、北インドの王朝にアフガン人が兵士として雇われているところにイスラーム諸国の歴史を感じますよね。

 

カシュガル・ルボッブ-Kashgar Rawab-

カシュガルは現在の新疆ウイグル自治区の都市で、タクラマカン砂漠のオアシス都市です。

シルクロードの要衝で、匈奴の支配下に入ったり、漢の武帝によって西域都護府が置かれたりと様々な歴史のある町です。

古代ペルシアが起源で、アラビア語は基本的に子音しか表記されないことから、ルボッブという名前からも想像できます。

実際、インドネシア・ルバーブ、アフガン・ルバーブというものも存在していてそれらの起源は同じ古代ペルシアのルバーブです。

フレットに羊の腸を用いるところにオアシスを感じますね。

ちなみにこのアフガン・ルバーブはインドに伝わってサロード(1つ前の章)になったそうです。

 

ウード-Oud-

個人的にinterstellerのこの曲むちゃくちゃ好きなんでもうウードとの共演とか最高ですよね。

ペルシアで生まれた楽器が祖先で、このウードから日本の琵琶が誕生したそうです。

 

サズ-Saz-

民族楽器って経験豊かそうな仙人感のある人が引くと何か違いますよね。

馬の骨に絡みついた立髪が風で吹かれて鳴っていたことが由来だそう。

国の権力者に都合の悪いニュースを伝えるために使われたことから取り締まられるようになったために、すぐ隠せる小型のものになったそうです。ギリシャやイランでも同様の逸話があるようで、楽器の進化と吟遊詩人の繋がりを伺えますね。

 

サントゥール-Santur-

イラン発祥の楽器で、ハンガリーのツィンバロムの元となった楽器だそうです。

ツィンバロムという名前、チェンバロに似ていませんか?

そう。チェンバロと同族の楽器で、皆さんに馴染みのあるピアノの仕組みは下を辿ればこういう感じなんです。

 

ラバーブ-Rabab-

 

予言や病気の治療をしたとも言われる放浪芸人がこのラバーバを演奏しながら歌ったそうで、ムスリムはこれを邪教とみなし多そうですが、砂漠気候下の西アジアで点在するオアシスい全ての都市を取締るのは至難の技ですから生き残ったそうです。

その後民謡として残り、アラビアから北アフリカ、東欧にまで広まったそうです。

このラバーバは、シルクロードに三味線の仲間を生み、東欧に吟遊詩人の文化と伝統を広めたという歴史にだいぶ影響を残している楽器といえるでしょう。

 

馬頭琴-Matouqin-

馬頭琴というくらいですから馬の頭が上の動画のように掘られているのですが、獅子も馬と遊牧の守り神としてもともとは彫られていたそうです。

しかし、内モンゴル自治区では中国政府が宗教色を嫌ったために獅子頭はなくなっていったんだそう。

 

バンスリ-Bansori-

熱帯では節と節の間が長くて厚い竹を手に入れられることから、これは夏の南西モンスーンがヒマラヤ山脈に当たって膨大な量の降雨をもたらすからであり、世界最多雨量を記録したインドのチェラプンジもヒマラヤ山麓ですよね。

日本の竹では無理

大昔から存在し、仏教、ジャイナ教、ヒンドゥー教関連の文献でその重要性を確認できるそうです。ヒンドゥー教のクリシュナ神が持っていたりするほど。

そんな大人気のバンスリですが、ヒンドゥー教は菜食主義者が多く、根菜類もダメとするものもあったことから、竹を口に当てられないという大問題が。そうした中でも鼻で拭けばいいとして鼻で吹いた僧侶もいたそうです。

 

ナイ-Ney-

古代ペルシア起源で尺八の元祖とされる楽器です。

15世紀まではそこまで重要視されていなかったようですが、メヴレヴィー教団の創始者ルーミーが用いるなど、スーフィズムとの関連性が強く、オスマン朝の時代には古典音楽に取り入れられるようになったそうです。

 

プーンギ-Pungi-

蛇使いが使う楽器です。やしの実やひょうたんでできているそうです。

 

テミール・コミーズ

日本語では口琴と呼ばれ、アジアから太平洋諸国までに分布していてそれぞれの地域で異なる名前があるそうです。

これを調べてるときに思い出したのですが、北海道のアイヌ村にいったときに、ムックリという似た楽器をアイヌのおじさんに教えてもらったことがあります。

 

参考文献

世界の民族楽器図鑑,河出書房新社,2018




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